岐阜 神明温泉 湯元 すぎ嶋
お部屋 土蔵の特別室
磨きこまれた床を素足でぺたり歩く、約150年前の新潟の庄屋を移築したロビー。ぴっかぴかに磨きこまれた床板は黒光りを放ち、見上げると煙に燻された塗 壁と無骨な梁や桁が行き交い、妖しい陰影が生まれる。チェックインの頃にはジャズが囁きはじめた。
客室は古民家の部屋のような造りで、ほとんどの部屋には囲炉裏が備わっている。この日の宿泊はちょっと奮発して土蔵の離れ。1階が囲炉裏の間で、2階 がベッドルームのメゾネットタイプ。あまり広くはない分、篭る気分が楽しい。
近くの山中に自生していたという樹齢400年を超える高野槙の古木で組上げた湯船はすごい風格。かすかなイオウの香りが鼻腔をくすぐる。連れはそのぬ るいほうで顔を洗ったらしく「洗っている間から肌が面白いことになる」とご満悦。(写真は男女別の内湯
ドアを外に出ると露天風呂。
通路を通って少し高台へ行くと山小屋風の貸切風呂と、家族風呂。風呂あがり、そよ風に吹かれながら歩く竹林の通路は言い表せない心地よさ。悦楽の域。
こちらは離れにある男女別の露天風呂。同様の貸切風呂もある。
夕刻にいっそう味わいを深めるエントランス。
食事どころは個室になっていて、囲炉裏では既に岩魚が串焼きされている。ここで頂くのは飛騨の山の素材をつかった懐石料理。手持ちのついた籠風の器に 前菜が運ばれてきた。鱒の手毬寿のなんとかわいらしいこと。
極細に切られた蕎麦は口の中で清々しい。菜の花、うるい、岩魚、ミツナ、えのきの入る「つみくさ鍋」のふたを開けたときの香りが忘れられない。薄味に 徹して旬山菜の味と香りを際立たせる土瓶蒸しのような楽しみ方。付近に生えている山菜を板場が山へ分け入り摘んでくるそうだ。
飛騨牛ステーキは塩、コショウで味付けされていて、軽くあぶるだけでうまい。本当に旨い肉ならこの食べ方が一番ではないだろうか。まわりはパリッと 炙ってあって中はミデアムレア。やわらかくてジューシー。デザートはりんごのムース。