先日宿泊してきました栃尾又温泉 宝巌堂のことを動画で宿泊レポします。

焦っていました。

チェックインて普通の宿なら15時か早いとこで14時くらいだと思うんですが。そんな気分で呑気にラーメン食べてたんです。
(青島食堂っていう長岡のお店。)
(じぶんとこで製麺してるモチモチ麺の生姜醤油のラーメン。)

そろそろかなぁ

と一応サイトで確認したらなんと、チェックイン13時からでした。
(呑気にラーメンすすってる場合でなかった)

 

関越道の小出インターを背にして2~30分ほど走ると山が近くなり、この道が奥只見湖や、さらにその先の尾瀬に繋がってることを看板が教えてくれます。

その道からそれて山へ向かうと袋小路に栃尾又温泉の集落が開けた。3軒の温泉宿があるのみの静かな集落。渓谷に水の音が響きます。

ここがバス停ですね。行き帰りともに1日2便のみなのですが、チェックインやアウトのタイミングと合っているので遠方から新幹線で来るのにもあまり不自由はないようです。

宝巖堂はお部屋7室の小さなお宿。ご主人さん女将さんスタッフの方1~2名の家族経営。顔見知りばかりでこちらは気楽です。15年くらい前に大がかりなリニューアル。桐の優しい肌心地をはだか電球が照らす宿に生まれ変わりました。僕が知ったのもちょうどその頃でした。

 

宝巖堂をじゃらん、楽天などのネットエージェントで探して分でてきません。リピーターさんの紹介や口コミで人にその存在が伝わっていっています。これは見事。満足度が高くないとできることではありません。

宝巖堂は坂の上。
「帰ってきてたよ~」なんて気持ちで登っていくと女将さんにご対面。
女将さんニコニコ。
こちらもニコニコ。

中に入ると穏やかなご主人さんにスタッフの方もでて来てくださいました。

桐敷きの廊下はなぜかほんのり温かく、ふわりと軽やかな気分にさせます。
(はやく靴下脱いで素足になりたい。)

予約していたのは小上がりのある「参の拾伍番」。
裸電球がほのかな明りを灯し、窓の外の緑がやけに眩い。
布団の設えがあまりに美しく、ゴロリするのが勿体なく感じるほど。
小上がりに布団を敷きっぱなしのタイルは僕らのお気に入り。ちなみに我が家をリフォームする際に「居間にどうしても小上がりをつくりたい」と連れが希望したのは、宝巖堂に影響されてのことです
室内も桐の床です。
周囲にはほんと何もなく木々のざわめきだけが聞こえています。

 

温泉へ向かった。
この通路がやけに味わいがある。

ここが帳場です。

栃尾又温泉には3箇所の温泉があり、これを3つの宿が共有する外湯方式。今では珍しいですね。

日によって異なるが、この日は
男性 奥の湯
女性 下の湯と上の湯
となってた。

栃尾又温泉の入浴は独特でかなりの長湯になります。
何しろヌルイですから。
奥の湯へ入るとみんな静かに瞑想中のように静か。一人読書に更ける方も。
体温よりもちょっと高いだけのぬるい湯だが、しばらく動かないでいると体にたくさん気泡がついていてこれをくっつけておくと結構あったかいことが分かりました。

30分くらいで身体の中が微炭酸のようにジュワっとしてきた。特に手と足。もうろうとしながら気付くと2時間が経っていました。

 

チェックインの時間が早いことに関連する滞在時間ですが、
僕が泊まったことあるなかでは野沢温泉が最長23時間、。ついで船山温泉が22時間。そして今回の宝巖堂は船山温泉に次ぐ21時間30分の長さなのでした!

野沢温泉 住吉屋              12:00 – 11:00 23時間
船山温泉        13:00 – 11:00 22時間
栃尾又温泉 宝巖堂         13:00 – 10:30 21時間30分

そしてこの滞在時間の長さは、栃尾又温泉に入るのにたいへん都合がよいのです。
なにしろ3時間以上入浴する方もいるようですから。でもできれば連泊がおすすめ。中日にじっくり入ってそのあとのんびり散策がホントは最高です。

ラジウム温泉というのはどうやら「吸う温泉」のようです。
ラジウムは空気に触れるとラドンガスを発生させます。放射性ガスらしいですが濃度がとても低ことにより人体に有害どころか、逆に細胞を活性化させ細胞の老化を遅らせる抗酸化作用がる、ということが分っているそうです。
世界中にラジウム(ラドン)温泉があることからも、人間は昔からそういうことを体で知っていたということなのでしょう。

改めて栃尾又温泉に目を向けると、ラジウムの濃度は日本で2番目らしいです。またこの湧き出している温度が絶妙でして、温度が高いとラドンは空気中に散らばってしまうのですがここでは人肌の温度で自然湧出するためにラドンが湯の上に長時間漂ってくれる。しかもぬる湯なのでいくらでも入ってられる、ホント生き物のために誂えたような湯です。

それと子宝の湯としても知られていて、宝巌堂の女将さんも その子宝の湯の効能を実感した方です。

新たに読書室ができていました。
(レトロな小学校の机かわいい)

(部屋には呑べいの誘惑の書が)

時間となり一階の食事処へ。

料理はご主人さんと女将さんが工夫して手づくりしているようです。
そのクオリティーが素晴らしかった。

山の宿へ行くと山菜は珍しくはないですが、宝巖堂の味はどこか上質であか抜けてる気がします。これはもしかして下ごしらえにめちゃめちゃ手間をかけているということなのでしょうか。

食前酒は梅酒。
ウド和え
おからサラダ(黄色い器)
新じゃが煮物。打ち豆、新潟の伝統食
○うるい梅酢(緑の菜?)
ワラビの辛子酢(ガラスの器)
○せんまい五目煮白和え

ぜんぶ美味しかったのですが、とくにこのぜんまいの白和えが最高でした。

アケビの新芽のお浸し。
あけびの新芽は超貴重らしいです。これは食感が独特でして、茹で方も関係しているようです。
山菜料理をばぁば(先代の女将さん)から習った女将さんに
(「ばぁば」は先代の女将さん)
「茹で方にどんな秘訣があるのか訊いてみると
なんとアレが入ってたんです。

「バサノエキス」

やぱりそんなやつ使ってたか・・・
悪びれもせず

そのバサノエキスについてもう少し訊いてみると
それはどうやら

「ばあさんのエキス」

ということが分りました。
そっちだったか。
ラーメン屋さんでおばちゃんの指がスープに入っちゃってるやつか・・・

違います。
山菜が柔らかくなり、甘みが出始めるのはもっとのんびり茹でた方がいいよ。あまりてきぱきと料理するんじゃなく、おばあちゃんの動きを真似してもう少しのんびりつくろうよ、というなんとも素敵なお話でした。

 

前菜全体
こんな山の宿でこんなに上質な料理に出会うなんてと驚きつつ、この山だからこそこの食材が揃うのだろうと納得してみたり。
(周囲の山で採れた山菜たちの晴れ姿)

みゆきマスのカルパッチョ。これにローズマリーでしょうかドライハーブがかかってるんですがると他では食べたことのないような美味です。

山菜の天ぷらはさんしょ(珍しいですね)、根曲竹、たらの芽、ウドの芽、アスパラ

地酒を少しいただきました。緑川の純米吟醸かなにかを注文
(大丈夫か下戸?)

にいがた和牛 ヒレのA5等級。
これがうまかったんですよ。テーブルに載せられるとさっそく肉のいい匂い。
「わしがメインディッシュじゃ」みたいな顔はしてないのですが、小さくありながらの存在感。この極上の味でした。

村上直送さくらますの塩引き
村上といえば鮭をぶら下げて干してる絵が思い浮かびますがこれその高級魚さくらますバージョンなのでしょ。しっかりとした塩味でご飯がめっちゃ進みます。

デザートはヤミーさんのジェラート
このジェラートは里まで下ったところになる人気のジェラート店のものだそうです。アーモンドプラリネとブルーベリーヨーグルト

おやすみなさい

<朝さんぽ>
すごくよく寝た。しかスッキリの目覚め。これ2時間の風呂に入ったせいか?
ご主人と話すとやはりそんなことを話すお客さんが多いそうだ。
不眠症の方に試してもらって結果を知りたい。

<朝ぶろ>
「現代人の羊水」を目指して、木で作られたほの暗い「産道」を退行していきます。
栃尾又温泉のとくに「したの湯」では源泉のすぐ近くに湯小屋があります。それはお湯の質を最優先に考えたつくりなのです。
木で造られた湯小屋は風情たっぷり。むき出しの梁が渡るほの暗い小屋の中、透明な湯面は木漏れ日を反射させて壁にその姿を揺らしている。

湯を揺らさないようにそろりそろりと歩み進み、首のすわりのいい石と石の間をみつけてそこに落ち着きました。
体温よりちょっと高いくらいの温度。
浴殿にこもったように響く渓流の音は母体の血流の音。
1時間ほど睡眠の入り口を行ったり来たりしながら、胎児のような時を過ごしていました。

<朝食>
この椅子かっこいいんです。
ご主人さん考案なんですよ。桐でできて、軽くて片手で楽に持ち上げられます。

トマトジュースが目覚めの一杯
ご飯がとにかく美味い

気が付けば二人ともお代わりして3杯食べました。
普段あさはちょっとしか食べんのに。

荷造りしながら連れは
「はぁ、帰るのか・・・。」
とつぶやいた

帰りたくなる場所。帰りたくなくなる宿

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