部屋からの眺め。

胡蝶のワインの会に来ている。
ワインの会とはシニアソムリエの木村先生と胡蝶の料理がコラボするという、年に何回かの恒例のイベント。
今回で4回目だ。

ちなみに自分はこの会がたのしくて3回目の出席。

 

?あっ、金庫の戸閉めて撮ればよかった。

14:00過ぎに宿に到着。私の部屋は「芭蕉」。そう、山中温泉は芭蕉ゆかりの地なのだ。

このようにワインの会では車で来る人のために宿泊もできる。しかも、部屋は選べないものの特別に1万円プラスでいい(今回だけかもしれないが)。
ワインが飲めて料理も通常の宿泊のときと同様のものがいただける。通常の宿泊料金を考えると、これかなりお得感あり。

 

仲居さんが抹茶と茶菓子を持ってきてくれた。
鶴仙渓を見下ろす縁側で頂くことにした。これが手作りの水菓子ならさらにいいのだが。

 

 

準備中のワインの会の会場を覗きに行ってみた。
聚楽第、以前泊まったことのある離れの特別室だ。
たくさんのグラスが並び、雰囲気ができあがってきている。

 

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時間があるのでまずは温泉。

部屋からすぐ近くのところに貸切風呂と男湯が並んでいるが、男湯にだれもいなかったのでそちらへ行ってみた。

広くはなく、目立った特長もないのだが、対岸の緑の山を正面に見て湯に浸かっているとなんだかいい気分になってくる。お尻に感じる若草石(たぶん)も心地いい。遠く下のほうからは川の音が聞こえ、少し開いた窓から入ってくる風はすこし秋を感じさせる。

山中温泉は硫酸塩泉。そこそこ珍しい湯だと思う。一般的には切り傷に効能があるせいか、肌触りはマイルドだ。これは寝るとき布団に入るときさらに、肌のスベスベ感として実感する。源泉掛け流しではないようだが、胡蝶では源泉の分量はかなり多くしているようなことを若旦那が話していたのを思いだした。

ちょっと気になって調べてみたら山中温泉は水素の含有量がダントツで日本一なのだそうだ。

 

部屋に戻って 読みかけの三国志を読みながらひと涼み。窓の外はしとしと雨に濡れている緑がいっそう眩い。
川の音、鳥の音、風のかおり・・・

さていよいよワインの会の時間。お客さんが到着し始めました。
書院造の1階部は縁側の戸が開け放たれ、日本庭園が続き絵となってあらわになる。

 

いよいよです。

 


(ムービーをご覧ください)

今回はジャズボーカリスト塚崎早苗さんとピアニスト後藤洋子さんによる演奏もあり、すばらしいひとときでした!

 

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シニアソムリエ木村功一氏による楽しいワインのお話を聞きながら、氏セレクトによるボルドーワインと料理長、三谷さんの初秋の懐石料理とのコラボを堪能する。

 

ボルドー産の赤白4種のワインと料理の相性を試してみます。

 

「これおいしい」と声を上げたのは、鯛の唐蒸し。
加賀伝統料理だそうで、腹の中を”空”にして打ち解けようとの意味を込めためでたい席での料理だそうだ。
餡かけになった鯛のお腹にはおからが入る。
おからってモソモソしてて、基本庶民の味なわけで、一級の料理にはそぐわない印象があると思っていた。
しかしこれがどうにも旨い。
料理長の三谷さんに訊いてみたら、なかなか手間のかかる仕事がしてあるそうだ。

 

結局ワインは11種類ほど出されたようです。いくつか名前を抜粋しようと思うのですが、自分はずぶの素人なのでちんぷんかんぷんをご容赦ください

レ・ザレ・カントメルル 2007
ソーテルヌ 2009
シャトー・ラ・フルールベラン 2004
シャトー・ガスパルド 2005
シャトー・トゥール・ド・ビュッシェ 2003

 

 

橋立港産の毛がに

 

もうひとつ強く印象に残っているのがこれ、粟蒸し。
アワって、お米が食べられない貧しい時代の食べ物ってイメージだが、それがこんな上等な料理に変身するなんてまったくの驚きであった。訊いてみるとやはり酒やらなにやらで下ごしらえに手間隙をかけているのだそうだ。舌触りも心地よく、山葵の風味も小気味いい。

ぼくは一人での参加で他の方と相席なわけですが、初対面とは思えないくらい打ち解けて楽しい時間になりました。

 

そして宴の後の館内。

風呂へ行った。

秋へと時が移ろうとする夜の空気は冷んやりと肺から染みこみ、体内を浄化していくかのよう。

 

さて、宴のあとのちょっと寂しい感じ、ぼくは嫌いじゃない。
虫の音が心に染みてる。今日はTVのいらない夜。

 

 

 

翌朝はひとり貸切風呂。

 

朝餉。

焼き魚はハタハタ。たれを程よく身に纏っていてとても旨い。

 

 

温故知新

胡蝶は仲居さんがいろいろ世話をしてくれる、伝統的な日本の宿のおもてなしスタイルだ。
仲居さんはおっかさんみたいな年代の方が多い、といつも思う。
スマートな接客ではなく、気取らないアットホームな雰囲気なのだ。
高級旅館といえば堅苦しいもんだと思うかもしれないが、ここではそんなことはない。

ワクワクするようななにかがあるわけでない。浮ついたとこもない。
部屋だって、館内だって世の流行とは無縁で、ただ中庭の日本庭園を数奇屋の建物が囲み、静かに佇む。
そこで加賀の伝統が息づく旨い料理をいただく。やはり魚が中心だ。
最近は料亭を名乗るとこでも手間のかかる下ごしらえを省いて、見せ掛けの創作料理に逃げる傾向があることを料理長の三谷さんは嘆いていらした。
温故知新。伝統の中に、掘り下げるべきもの、今の時代に必要なものが隠れている、それが胡蝶の思想だ。

胡蝶のチェックアウトは超のんびりの12:00。これはうれしい。
僕はもうしばらくのんびりすることにしたが、一足先にミンミンゼミは活動を開始したようだ。

「今年最後のセミかしらね?」

と仲居さんがつぶやいた。

 

 

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