岐阜 奥飛騨・新平湯温泉 寛ぎの舎 游
お部屋 露天風呂付メゾネットタイプ

 

切り立った山々に見下ろされる新平湯温泉は標高約1000m。キツネ、オコジョ、日本カモシカなどが、宿の近くまで姿を現す。

 

漆黒の板が引き締まった印象を与える隠れ宿では、作務衣のスタッフが迎えてくれる。

 

 

営業して5年。宿のオープンと同じ頃に宿の周囲に植えられた山野草は宿の生長と歩調をあわせながら、今では200種類以上が、季節ごとに来客者を楽し ませる。もちろん館内のあちこちにも山野草が飾られ、ご婦人方はしばしば足を止めてその小宇宙に見入っている。

 

【露天風呂】山側に設えられた岩組みの露天風呂。みなさんはこの湯の香りに気づくだろうか。意識しないと気づかないほどの微かなものだが、これに気づ くと胸いっぱいに吸い込まずにはいられない。森を漂うような心地にさえさせる。写真は女湯のもので、男湯もほぼ同様。

 

 

【内湯】単純泉は体に優しい成分なので、長湯向きの天然温泉。肌触りもマイルドだ。洗面台も洒落ていて幸せな気分。湯の華をゴミると勘違いする方がい らっしゃるそうで、貸切風呂以外は湯の華を取り除いてある。スキモノにとってはそこだけちょっと残念。

 

 

あんず酒を食前酒に始まったこの日の料理は山のものを中心に味、盛り付けともに秋を楽しませてくれた。素材をいじくり回さず、アイディアに富み、しか も押し付けがましくない。既製品を使わない手作りというのも好感が持てる。程よく”旅館料理”を抜け出したオリジナリティーを感じる料理。出来たてが順に 運ばれてくる。

 

 

立体的な鉄板のてっぺんではしゃぶしゃぶ、裾では焼肉ができる游山鍋。飛騨牛の極上霜降り肉をしゃぶしゃぶで頂くと、これが絶品!じっくりとあまく、 とろりと柔らかく、しかもしつこさを全く残さず、のどをすり抜ける。締めくくりは焼きおにぎりの雑炊で。デザートのフルーツと抹茶アイスを平らげるまで上 機嫌で頂きました。

 

  

私のチョイスは露天風呂付メゾネットタイプの部屋。部屋にいると、いつでもテラスに設えられた露天風呂から、温泉の注がれる音が少し聞こえていて、と ても満足な響き。湯が欲しくなったら、部屋から2、3歩出ればだれにも気兼ねの要らない自分専用の露天風呂。もちろん、こちらも天然温泉。

 

 

こちらはバリアフリー対応の和洋室。トイレも車椅子で入れる。だからといって病院のようでは興ざめであろう。ご安心を、心がけたのは健常者の方が泊 まって違和感のないバリアフリー。女将さんが車椅子で生活していた時期があり、いろいろ意見を取り入れたそうだ。

 

【貸切露天風呂】星の見える日は灯りを消して入ってみるのも一興2000円/1時間

 

 

夜空を見上げなくなってからどれくらい経つだろうか。もうどんな様子をしているかも忘れていた。いや見上げたところで、街の夜空は騒がしい明りにかき消さ れているのだ。夜の露天風呂へ行ってみると空一面の星。街で見えていた明るい星だけがぽつ、ぽつとしか見えない夜空とは全く違う。青みがからず妥協を許さ ない真っ黒な夜空、その一面ににキラキラの星の砂を撒いたようだ。大浴場の露天風呂もだいぶ照明は落としているようだが、やはり消してしまうわけには行か ない。貸切の露天風呂を予約すべきだったと思った。翌朝、若女将と話をしていたら「星の見える日はみなさん灯りを消して入浴されてるようですよ」。是非次 回の楽しみにしておこう。そういえば2階メゾネットには天窓が切られていて、雲がなければ星を眺めながら就寝。ちょっとしたハイジ気分だ。本当に星の綺麗 なところだ。本館の客室はごく一般的な和室だが、代わりに景色がいい。上質な隠れ宿気分に浸りたいならやはり新館がおすすめ。チェックイン時以外はこちら から呼ばない限り部屋への入室はなく、プライベート空間が保たれている。さらに館内で過ごすのは、ありきたりな浴衣ではなく作務衣。動きやすいし、はだけ ない、寝ているときに浴衣がぐちゃぐちゃにならない。作務衣は抜群の快適さを提供してくれた。比較的リーズナブルに部屋付の露天風呂(もちろん温泉)を堪 能できるのは断然嬉しい。しかも大浴場は24:00までだが、こちらはいつ何時でも大丈夫。ふと夜中に目が覚めたら迷うことなくテラスへ直行だ。メゾネッ ト、和洋室ともに親子2世代で温泉を楽しむシチュエーションにも適している。隠れ宿といっても、子供を寄せ付けないような排他的な雰囲気ではなく、気取り 過ぎない居心地のよさがこの宿の魅力だ。ほんのり上質、かつ気まま。満ち足りた一夜を過ごさせてもらった。

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