こんにちは。 福島県須賀川温泉の一軒宿、「おとぎの宿米屋」に泊まってきました。

エントランス

米屋はその名の通り「おとぎ話」をテーマにしたラグジュアリークラスの宿。すべてのお部屋に源泉かけ流しの温泉が備わっていて、それは露天風呂だったり内湯だったりしますが、いずれも魅力的と言えましょう。館内、お部屋、そして料理まで「おとぎ話」のテーマで統一されていています。 実は今回お宿仲間が米屋を貸切利用するとのこどで、私も一枚噛むことになったのです。 さてどんな宿泊になりますか。 田園風景の中にちょっと小高い丘。その一角だけは木々に囲まれて野鳥の声が聞こえる静かなロケーション。小さいお宿といったものの、その敷地は約20室前後の宿には不釣り合いなほど広くて、建物はリゾートホテルのようにしっかりしたもの。

看板前で

このお宿のロゴ大好きなんですけども、これ女将さんが考えたそうなんですよ。 お宿全般のデザインをいわゆる有名なデザイナーがすべて牛耳っていて・・・みたいに思ってましたがまさかの手づくりでした。 玄関の横に流れているのはこれお湯なんですよ。訊いてみるとこれはお風呂などで使い終わった湯ではなくまっさらな源泉だそうです。お湯が有り余っとるんですね。

ラウンジ

戸を入るとまず大きな生け花がお出迎え。旅の疲れを一転華やかな気分に変えてくれます。 ラウンジの大きな窓からは細やかな緑がちぎり絵のよう。そして木々の間を抜けてきた光がいい具合に溜まっています。 だいたいにしてこの宿、館内いたるところに木の風合いが感じられて、館内の照明も穏やかで好き。 Yチェアーが見えますね。 時々どこからともなくアロマオイルのようないい香りがただよってきます。 こちらはライブラリー

階段

お部屋に向かう途中にもちょっとしたかわいいものがくすぐってきます。

部屋

部屋は大きく二つのエリアにまとまっていて、本館の2階にあるのが「おとぎの丘」エリア。そして渡り廊下を渡っていく離れが「おとぎの里」エリアとなります。この離れのほうは、以前まではちょっぴりリーズナブルな価格設定でしたが現在は大幅にリニューアルの工事中でした。現在は12室での営業ですがリニューアル工事が完了すると6室増えて18室になるんですって。というわけで今回は「おとぎの丘」エリアの「土のおはなし」というお部屋に宿泊です。米屋の中ではコンパクトなタイプ。 各部屋にはテーマに合わせた椅子が据えられているようで、このお部屋には僕も大好きな飛騨の柏木工の椅子です。 洗面所の先には温泉があります。50℃の源泉が注がれているので熱いです。お湯を止めて1時間くらいしてからがちょうどいいそうなので、ここは後で入ることにしましょう。

大浴場

では大浴場へ参りましょう。 脱衣所は広々。記憶違いがなければフェイスタオルはここに用意されていて、バスタオルのみ部屋から籠に入れて持ってきたと思います。 それでこちらが大浴場ですが、入ってみるとですね、これがすごくて。肌の表面がトロントロンになります。古い角質がどんどん落とされていくのでしょう。 ミストサウナもありまして、椅子に寝そべると100%源泉のミストが天井から降り注ぐというものです。 この大きな浴槽にして見たことのないドバドバな溢れっぷりは見事。 よほど湯量が豊富なんですね。ですから浴槽はいつもフレッシュな湯で満たされているというわけです。 戸の外に出ると露天風呂。 広々とした敷地を生かして木立の間に間に露天風呂がぽつりぽつりあります。

おとぎの森 カフェ

風呂上りは「おとぎの森」というカフェへ。 カフェに入るとですね、細い木が数本生えてて物語のワンシーンのよう。敷地に生えていた木だそうですよ。木の葉のテーブルはオリジナルで作ったのでしょうね。 ここではドリンク類を自由にいただくことができます。 冷たい飲み物はオーガニックデトックスティーとジンジャーピーチティー。 やばっ、腹ぱっつんぱっつんでボタン飛びそうですわ。 ブレンド、カプチーノ、エスプレッソ、カフェラテなどのコーヒー類もそろっていて、以前に泊ったときから変わっていなければ無農薬・有機栽培のコーヒー豆が使われているはずです。

プレート

こういう案内板も女将さんが中心になってデザインしてるんですって。

ショップ

ショップには時間が足りなくて寄れなかったのですが、オリジナルのグッズや米屋の価値観と響きあう雑貨がおかれているそうです。

トイレ

これおもしろいでしょ? 厠(かわや)、トイレですね、の石の手水鉢(ちょうずばち) です。

部屋の温泉

夕食の前に部屋の温泉にも入っておきます。成分表には無色無臭となっていますが、戸を明けると微かに硫黄なのか、もしくは温泉マニアがアブラ臭といって珍重する鉱物臭なのか、その両方なのか分らないけど温泉の匂いを感じました。それは森の匂いに草原の匂いを混ぜたようでもあります。それと色もうっすら緑がかってますね。 そして特徴的なのは入った瞬間にわかります。お湯自体がトロトロしてるわけではなく、お湯に反応して肌がトロトロしてくるのです。アルカリの濃いお湯の特徴ですが、ここまでトロトロするとは、鳴子の中山平温泉、能登半島のねぶた温泉あたりのレベルじゃないでしょうか。一肌剥けた感じ。 シャンプーは頭から体まで洗えるもの。そして洗面にあるのは天然成分100%・完全無添加スキンケア。ハンドソープはソーダサンというこれまたオーガニックなもののようです。

料理

夕食の時間になりました。食事は個室でいただきます。 こののお宿の大きな特徴はおとぎ話をテーマにした創作料理。楽しいですよ。なんと今まで65作品ぐらいつくったそうです。 料理は全般的に手作り。 化学調味料などの添加物を一切使わないというやり方は、ぼくみたいに化学調味料があたりまえの 味覚の人間にも「旨い」と感じてもらうために相当な苦労があったようです。分りますよ。ぼくの友人の中華の料理人もこれに挑戦して相当大変だったみたいですから。 (香水) 先ずは香りのおもてなし ピント合わせ失敗でしたね(笑) (彩る裾もよう) このきれいな盛り付けは色づき始めた秋の裾野をイメージしたようですよ。 いくつかピックアップすると 真ん中のが「きのこのクロスティーニ」というものだそうで、きのこのペーストをトーストにつけていただきます。旨かった。 そしてもうひとつ「丸十の蜜煮」も抜群でした。丸十って料理に詳しい方は知ってると思いますが、薩摩芋のことですね。なんで丸十と呼ぶかですが薩摩藩藩主、島津家の家紋が丸に十でまるじゅう。薩摩といえば丸十だろうということから薩摩芋のことを丸十と呼ぶようになったらしいです。 (かさなる音色は) むしの声 銀杏と秋茄子のかぶら蒸し (月に思いを) 十五夜お月さん 鰹サラダ ガーリックオイル っガーリックオイルは直前に自分で垂らすのっですが、おとぎ話の絵に最後の一筆入れる気分です。 (穴子にぎり) ふわっふわの穴子の握り絶品でした。 がりも自家製です 米屋定番の一品らしいですよ。 (夕やけ空に)赤とんぼ こちら岩手短角牛のサーロイン ワインすき焼き 春から秋にかけて放牧される、国内生産1%という希少の肉だそうです。 焼くのは接客の方が世話を焼いてくれるのでぼくらは基本座ってればいいだけ。肉ちぎれたがナイスリカバー。赤ワインベースの出汁のようですね。 自分の娘くらいの方が頑張って働いていて、その方との会話も楽しい。地元の話をいろいろ聞いた。 脂分が少なくてさっぱりとした、それでいて充分に旨みのあり一気にのどの奥へ吸い込まれてしまいました。 「わんぱく少年の食いっぷり」とのお褒めの言葉?を頂きました。 (織りなす錦) もみじ そしてこれこれ、釜炊きしたはらこ飯の茶漬け。 ぼくらが食事しているそばでじっくり釜炊きされていました。 めちゃめちゃ美味しかったです。あーっ、よみがえります。 (米屋のあんみつ) デザートは自家製あんこ コーヒーゼリーで大満足でした。

夜の露天

夜の露天風呂の幽玄の世界はいつ来ても感動します。 しばし現場の音とともにどうぞ 今回は全館貸切ということでしたが、過去3回来た時も私が平日に行くせいか、混んでいて居心地がよくないということは一回もありませんでした。こういうとこにくる人ってガツガツしてないんですねきっと。今夜もこの素敵は雰囲気を独り占め状態でした。

夜部屋

肌心地のいい布団にくるまれて就寝。おやすみなさい。

朝の露天風呂

おはようございますの朝の風呂。前日と男女のお風呂が入れ替わってます。 露天風呂へはちゃんとした通路もありますが、物好きな方のみこっちを通ってくださいね。 床下湧出もあったりして、なるべく空気に触れさせない工夫があるようです。

朝食

朝食です。 右手にある面白いかたちはワインセラーですよ。 (サラダ) 野菜がホント美味しいです。「無農薬・無肥料の自然栽培や、有機栽培」などの説明がありました。 (小皿) そして発酵食品を中心にした小皿が並びます。 とにかく米屋の食材には一つ一つにあまりにも語るべき話がおおすぎてとてもここではお伝えしきれません。

呼吸整う、瞑想のような1泊

以前に泊まった時の宿泊レポを読み返してみたら、お洒落、かわいい、センスいいといって大人のテーマパークのアトラクションにはしゃぎ気味だった自分たちでした。今回は今までとは違う面をより感じたのです。 それは心穏やかに過ごしたな~ってこと。自分の自然な状態の心持ってきっとこんな感じなんだろうなっ、と。 もちろんかわいらしい料理にときめき一瞬沸き立つも、やがて波紋は穏やかな心の奥に染み込んでいきます。部屋のソファーに寝そべり湯の音を聞きながら、テレビもつけたくない、この静寂のような時間で自分を満たしたいのだと思ったのでした。 それはもしかしたら瞑想のような時間 チェックアウトの時間がせまる中、もう一度カフェの空気を吸いに来ました。 たとえ外が吹雪だったとしても、この空間は暖炉のそばみたいに穏やかなあたたかさなんだろうな~などと思いながら。  

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