兵庫県 有馬温泉
宿泊日 2004年11月
お部屋
神戸の奥座敷、有馬温泉街の中央に無駄をそぎ落とした素晴らしい宿をみつけました。
室内は、大正浪漫風。充満するレトロ感に、遠くに来た旅気分が一層盛り上がります。
特徴的な意匠が金茶色のガラスの障子。このテイストが気に入って自宅の引き戸もこれをイメージしてデザインしたほどお気に入り
お風呂は家族風呂が二つ、空いているときに自由に。浴室のレトロ感に比して、脱衣場の生活感はご愛嬌。もちろん、お湯は有馬温泉ならではの金泉。
こちらも家族風呂で同じく金泉の湯です。ちなみに姉妹宿である「御所坊」のお風呂も利用できます。
築後50?60年も経った古い旅館を改築した建物は、高い天井に当時の面影を残します。
館内の奥まったところに、なぜか「グリコのおまけ」を創作していた故加藤裕三氏のアトリエ風作品ルームがあります。生前の加藤さんの仕事場風景そのままに、グリコのおもちゃの試作品などが展示されています。夕食の前のちょっとした時間にぶらりとのぞいてみたい。
もともと少食な私たちは、夕食は量の少ないコースにして朝食不要という選択をしておりました。それが、前菜にだされた「ふろふき大根とたこの煮物」の出汁を飲んだだけで顔を見合わせて「朝食不要で予約しましたが、今からでも変更できますか。」とお願いしてしまったほどです。
食事をしながら、板前さんたちが調理しているところをカウンター越しに見るのも一興。
但馬牛の炭火焼。
<贅肉をそぎ落としつつ徹底してこだわったセンス 「ホテル花小宿」(兵庫県 有馬温泉)>
丹羽さんも昨年、拙宅「思う壺Bar」においでいただきましたが、リビングと和室の間仕切りがアンティークガラスの引き戸になっていますのを覚えておいででしょうか。 実はあのデザインは、雑誌で見た宿の写真をデザイナーさんに見せてイメージを伝えデザインしていただいたんですが、そのときに使った写真の宿が今来ている「ホテル花小宿」なのです。大正ロマン風の古い建物で、特徴的な意匠が金茶色のガラスの障子。写真で見る宿のセンスに惹かれて実際に訪れてみると、安普請の薄っぺらい造りでがっかり…なんて経験も過去にはありましたが、この宿はさすがに神戸の奥座敷。聞けば築後120年も経った古い旅館を改築したとのことで、重厚な玄関や軋む階段、高い天井に当時の面影が残ります。古い建物と言っても水周りや空調設備はきちんと改装してあるので、居住性はすこぶる快適です。また、来てみて初めてわかるのが隅々まで行き届いたしゃれたセンスと宿の姿勢。照明器具ひとつひとつも、部屋のレトロなイメージを損なわないシンプルなスタンド。1階にある食事どころでいただく夕食も、大変出来のよい和食で満足。この宿はルームチャージ、夕食、朝食を個別に組み合わせるシステムで、もともと少食な私たちは、夕食は量の少ないコースにして朝食不要という選択をしておりました。それが、前菜にだされた「ふろふき大根とたこの煮物」の出汁を飲んだだけで顔を見合わせて「朝食不要で予約しましたが、今からでも変更できますか。」とお願いしてしまったほどです。この朝食がまた素晴らしい出来栄えで、1,500円というリーズナブルな設定にあわせて、ご飯、汁、漬物の他には茶碗蒸しと豆腐と干物だけというシンプルなメニューではありますが、そのひとつひとつの完成度が高いのです。ルームチャージ16,000円のお部屋に、量の少ない6,000円のコースの夕食、1,500円の朝食と、税金、サービス料、飲み物代を払っても二人4万円でおつりが来ます。このリーズナブルさですから、人手が少なく時間によってはスタッフが誰もみつからないとか、廊下にビールの自販機があるとか、ゆとりのあるパブリックスペースがない等の点も許せます。無駄を徹底して省いた効率よいシステムで価格を最大限下げる。宿の特徴であるインテリアには隅々まで徹底してこだわる。新しい宿のあり方を提唱するような優れた宿として、丹羽さんにもぜひご紹介したい宿でした。(このレポートはMIUさんがタビエル宛にお送りいただいた私的なメールを元に、後から写真を撮影してつくりました