宿泊日 2011年6月
お部屋 8畳
蔵王のお釜へ向かう山道を右にそれて奥へ進むと、そこはまさに秘境。神が彫った彫刻かと思うような神々しいなこの壁が現われる。峩々温泉はこの対岸にある一軒宿。
すっきりと洗練された宿泊棟の玄関。日帰りのお客さんとは棟が別れているので、ずいぶんと静だ。
ロビーラウンジは蔵王の森の中をイメージしたのでしょうか。こんなカフェがあったらいいだろうなと思わせる雰囲気があります。先ほど外から見た岸壁が目の前です。
早速、川沿いにある混浴の露天風呂へ。運良く貸しきり状態でこの新緑で満たされた露天風呂を独占した。
つづいて高台から岸壁を望む貸切風呂へ。
締めくくりはり、大浴場のあつ湯でかけ湯だ。熱い湯をすくっては、胃のあたりめがけてかける。湯は腹から胸を伝い、コロコロと首のほうまで転がり背中のほうへ染みこんでいく。気持ちよさに朦朧としながら胃のあたりへ100回投下。
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素材の姿がしっかり分かる料理。ちょうど根曲がり竹が旬の時期でした。皮のまんま焼かれて中は蒸し焼き状態。大好きですこれ。アスパラやコーンを思わせる甘さ。そして、芋煮汁がこれまた抜群に旨いのだ!
別注した「ベルツ」のソーセージ。問答無用に旨い。連れは問答無用で生ビールだ。
寝る前にもう一度風呂に行ってみようと、通路をぶらぶらいるいていてふと空を見上げてみると、満天の星空。この星空を眺めにくるだけでも価値がありそうだ。
旅館には珍しく朝食は和食・洋食のどちらかを選べるのです。連れは和食、自分は洋皿。ハムを挟んだマフィンに、マスタードが隠し味のムースマヨネーズがかかってます。食後はラウンジでふるまわれる水出しコーヒー。
竹筒を手にして寝そべる。
熱い湯をすくっては、胃のあたりめがけてかける。
湯は腹から胸を伝い、コロコロと首のほうまで転がり背中のほうへ染みこんでいく。
100回は繰り返すのが慣わしと聞き、そんな根気の要るごとを・・・と思うが、背中は温泉でポカポカと温かく、意識は朦朧・・・。手はやがて勝手に動き出し、100回は以外に早く到達している。これは「あつ湯」での話、写真がうまく撮れなかったので載せてないけど。大浴場には男女ともに浴槽が2つあり一方が入浴のための「ぬる湯」、そして小さめのほうがこの峩々の伝統的な入浴ほうほう「かけ湯」のための湯船だ。峩々温泉はもともとこの「かけ湯」するものだったらしい。
胃のあたりにかけるという決まりがあるわけではなく、たとえばどこか痛いとこでもあればそこをターゲットにすればよいらしい。
峩々(がが)温泉に泊まるのはこれで3回目になるが、レポートの書き出しをどうしようかと考えた結果、前回のレポートとほぼ一緒になった。怠慢をしたわけではないですよ。自分にとって、峩々での重要な時間はやはり、あの瞬間に凝縮されているのです。2回目に泊まったときにこの入浴法の楽しみを覚えた。東北で生まれ育った父も、なんども峩々に来ていたらしいから、親子2代にわたって峩々温泉好きだ。世の中にはそういう人が何人もいるに違いない。峩々温泉という温泉名がそのまま宿の名前。そう、ここは一軒宿。
蔵王のお釜へ向かう山道を、右にそれて通称「峩々への道」を通り、谷地へ少し下ったところ、そこは秘境とよぶにふさわしい。「峩々」とはきわだって嶮しいことを意味するらしい。付け加えると、この文字をパソコンで漢字変換するのもなかなか”峩々”だ。
そこに現われる宿は「日本秘湯を守る会」の会員の宿。まさに秘湯の宿に違いない。ロケーションからすれば確実に、これ以上ないくらいに秘湯なわけですが、だが宿泊棟に到着してみると、なかなか瀟洒な建物に「おっ」と思う。なりふりかまわない宿でないことがよく分かる。それどころか、ロビーなどは趣味のいい椅子が点在し、カフェのようだ。さらに言うと静だ。宿泊の棟と日帰りの棟が分かれているので、静なのだ。ホスピタリティーの面では秘湯という言葉にとらわれない進化がある。それはスタッフの接客にも浸透しているようだ。ちなみに入り口を別にした湯治棟というのもあって、こちらは日帰り入浴も受け付けている昔ながらの秘湯の姿があります。日本三大胃腸泉に数えられる峩々温泉のお湯には、「のむ」「かける」「つかる」の3つの温泉利用がある。自分の仕事場にはこの湯18リットルを飲用に備えてありました。飲んでみると、体の水分とおんなじ成分なんじゃないか?と思うくらい、口当たりがマイルドで、喉をするすると流れ落ちていきます。また欲しいな。
んで、入浴したときもこれと一緒なんです。
喉で味わったあの感触を、全身で感じる醍醐味。
家に帰って、あらためて泉質を調べてみるとナトリウム ? 炭酸水素塩泉という。旧泉質名でいうところの重曹泉ですよ重曹泉。なんで繰り返したかというと美肌の湯の代名詞としてしばしば言われるのが重曹泉なんです。料理は、素材重視の料理です。例えば前日に泊まったひげの家の料理と比べてみると、どちらも山の食材が中心だがひげの家の方は趣向を凝らした料理。一方峩々は素材の姿をしっかり留めた料理だ。連れは前半戦もっぱらベルツのソーセージと生ビールにご満悦だったのだが、やがてでてきた白いご飯の旨さにやけに執心だった。自分は芋煮鍋!胃袋の中からも峩々を堪能してきました。
寝る前にもう一度風呂に行ってみようと、通路をぶらぶらいるいていてふと空を見上げてみると、満天の星空。この星空を眺めにくるだけでも価値がありそうだ。朝食の後にロビーで振舞われる水出しコーヒーをのみながら、大自然に抱かれたのんびりとした朝。
【どうしても伝えたいいこと】
東北地方を襲った3.11の大震災。
自分は峩々温泉がどんな様子なのか知りたくて、峩々温泉のサイトを見に行った。
あそこは岩盤が頑丈らしく直接の被害は大きくなかったようだが、それでも配管のパイプが破裂したり、ライフラインの問題などで1ヶ月以上の休館を余儀なくされるという。
旅館にとって現金収入が途絶えるということはどんなに厳しいことか。それでも社員の雇用を守り給与100%保証したという。若いご主人、竹内さんが書くブログからから伝わってくる復興への力強い意思。そしてそれ以上に私を驚かせたのは、昔縁のあった沿岸部への被災者支援活動だ。それも一度や二度の話ではない。避難所生活を送っている人たちはお風呂に入れずに困っているだろうと、石巻・小竹浜地区などに峩々温泉のお湯を運び、即席お風呂を設営したり、宿の営業が再開しすると避難所生活に疲れただろうからとチャリティーで招待したり。峩々温泉の顔の見える復興活動だ。自分たちだってきっとキツイ状況のはずなのに・・・。感動しました。
こちらからその記録を見ることができます。
お時間が許せば、大震災直後の記事まで遡って読んでみてください。
峩々温泉 六代目のひとりごと|カテゴリ:東日本大震災
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