昭和ノスタルジック系映画に
プチはまり
の連れがたまたま”ジャケ借り”してきた『地下鉄(メトロ)に乗って』というDVDを何の気なしに観たんですが、
これがめちゃめちゃよかったんです。
思わぬ大感動に浸ってしまいました。
ストーリーはちょっと込み入っていて、ここで書けるような感じではないんですが、
簡単にいうと、
堤真一演じる主人公がふとしたきっかけで子供時代にタイムスリップ。
ここで自分の若い頃の父親に出会い、戦中、戦後の父親の生き様を一人の人間として垣間見る。
親子の縁を切るほど憎かった父親とのわだかまりが解けていくと言う、
まぁ僕の言葉にしてしまうと、ありがちに聞こえてしまうかもしれませんが、ストーリーが巧妙でホント引きこまれますよ。
話の進行とともに登場人物同士の関係がだんだん分かって
その断片、断片が最後に一つの絵に出来上がったときそれぞれの人生が浮かび上がってきます。
もっとも心を揺さぶったのは、主人公と不倫関係にあったみち子の死。
その”死に様”が
切なくて切なくて。
自分の人生全てを「生まれない」という形で愛する人にささげるという、この理不尽さがどうにも切ない。
一人で見てたら号泣してたかもしれません。
でも彼女はタイムスリップであることを確認できたんですよ。
両親が自分の誕生をこころから喜んでいたことを。
まぁこんな感じでして。
ノスタルジーに浸って、見終わった後にあったかい気持ちになるような生易しいものではなく、
どこかすっきりしきれない曇天な気分。
見終わった後にもふと考えさせられる、後を引く、ふっきれない。
それが不快ではけっして無い。
これもまた映画の魅力ですね。