さておまちかねの、ディナーの時間になりました。
今回はフローリングの食事どころです。花季には1階に個室の食事どころが2ヶ所。ちなみにもう一方は琉球畳の食事どころ。どちらも結構広い。琉球畳の食事どころはおそらく6人程度、フローリングのほうは10人以上が座れそうに思われる。
意図して2室の宿にしたのかは分からないが、料理をベストなコンディションで食べるのにこれほど適したシチュエーションはない。
そして、料理を一品づつ運んできてくれる時子女将のちょっとした昔話が楽しい。このお話は花季を理解する
重要な手がかり
でもある。
食前酒は自家製の食前酒。
美味っ!
うる覚えだけど、食事どころから見える坪庭に梅の木が生えていて、その実を漬けたとお話していたような・・・。
食前酒って不思議ですね。知らずに料理へ向う気持ちを整えていきます。
整いました。
ねづっちかっ!?と。(ツッコミのつもり)
料理は宿泊レポート本編でのお楽しみということで、ここで出し惜しみしておきます。
えんどう豆の温スープはサラサラした口当たり。薄味で伊勢海老の塩気を引き立てている。中央には味噌を含んだ伊勢海老があり、筍のひめ皮の千切りがの揚げた物
海素麺の長芋ポン酢和え・カボチャと自家製スモークサーモンとサラダ・フルーツの豆腐ソースかけ
真竹の静岡ポーク巻き
ムギイカの黒米詰め、肝ソースをかけて。
肝ソースってなんでこんなに旨いんだろう。
筍のしんじょうとハモのお吸い物
オーベルジュって、フレンチのイメージじゃないですか。
でも、この出汁をすすってみると正統な京料理っぽさがあるんです。
ホタテの昆布〆と金目のカルパッチョ。自家製の土佐酢でいただく。
金目はここで食べたのが今のところ一番旨い。脂の味がだらしなくないのだ。のど元を過ぎるあたりのまろやかさに土佐酢が切れのいい輪郭をつけ、後味にはシソの風味が漂い爽やかな空気で締めくくる。
鮎の焼き物もこんなに丁寧な盛りで楽しませてくれる。
緑のソースは蓼ソース。飴色のはバルサミコでしょうか。
そしてやっぱり名物の「おばあちゃんの胡麻豆腐」
濃厚な胡麻豆腐。まったりと胡麻の風味がまったり口の中に漂う。
やはり花季、大満足のディナーでした!!
ここからの話しは、時子女将から聞いた話をもとに私なりに解釈したことなので、間違っている内容もあるかもしれません。
花季(はなごよみ)という宿をどんなカテゴリーにいれて説明しようか。旅館というカテゴリーにはどうにもおさまりがよくない。シェフの明恵さん自身がそう思っていたようだ。いままでは料理旅館と名乗っていたが、オーベルジュという言葉がいよいよ日本に定着してきたので屋号にそれを冠した。
ただ花季が「オーベルジュをやろう」とスタートした宿ではない。
2室の宿が成り立っていくためにできることといえば、あまり選択はなかったのかもしれない。そんな環境が明恵さんが料理の能力を開花させた。
明恵シェフの料理の思いは「料理のひとときが楽しい時間になって欲しい。」である。その思いで出来上がった花季独自の料理と宿泊スタイルが、「どうもオーベルジュと呼ばれているもの」に近いということなったのだ。
見本も無いまま暗中模索で進んできた結果、それがフランスの田舎のオーベルジュという宿泊形態ととても似ているものになったというのは興味深いことだ。
花季の料理をたべて、他の宿の料理にときめきを感じなくなってもそれは誰の所為ではない。