新緑。若い緑が黒瓦に映える。
田んぼに水が注ぎ込まれる頃、冬の間にどこかに潜んでいた生命が、湧き出てくる。
遠くに見える折り重なった連山、その山々に守られるように奥から顔をのぞかせているひときわ高い山はまだ冠雪している。
いい眺めだ。
薪の音はそんな田園風景の外れにひっそりと、本当にひっそりとある。
中に入るとなんとなく懐かしくもお洒落な空間。
頭上に不揃いの梁が渡っているが、この建物ご主人の住処だった古民家の建材が随所に使われている。
靴脱ぎ石で、靴から開放されて先ず通されるのがここ。
相変わらず、うっとりする眺め。
初めてここに座った時のことを思い出す。4年くらい前だろうか。最初はけっこう緊張したのだが、その緊張は無用であることがわかるまでにさほど時間はかからなかった。ご主人の人柄ですね。
お茶菓子を頂きながら、ご主人と近況などを話す。
ご主人さんとの話に夢中だったのと、のどが渇いていたのでついつい、冷たいお茶にピントを合わせてしまった。
茶菓子は畑でとれたサツマイモの練り菓子(うるおぼえ)。さっぱりし甘さ。
以前に泊まったときは2階ジャグジー風呂付の四花菱だったので、今回は趣を変えて1階の枝椿(洋風)。自然木の風合いが気持ちを軽くする。
「天蓋付のベッドだぁ。」と喜んでいると「これ蚊帳よっ、何十年ぶりかしら?」と連れはやけに懐かしそうだ。蚊帳も使い方によっては存外お洒落なものになるらしい。
カーテンを開けてみると、里山の真っ只中にいることを実感する。
トイレルームも高級感があてうれしい。
宿がどこまでこだわって作られてあるか。トイレってけっこうそう行くことが現れる場所だと思う。
エスプレッソマシーン(推測。使わなかったので・・・)。