廻ってる寿司には月に一回位のペースで行っている気がするけど、
廻ってなくて、カウンターごしの頑固そうな親父に握られて
しかも値段が
時価
とかなっていると、もう味なんかわかんなくなってしまうことが容易に想像できる。
以前に一度、取引先の方に連れて行ってもらったときがまさにそれだった。
小心者の私たちは妙な威圧感を感じてしまい、正直食べて気がしなかった。
安いネタ頼んだら怒りださないだろうか?
くらいの恐怖感の中で食べたのだ。
そんなわけで、廻ってない寿司デビューはまだ先だろうと思っていた。
ところがだ、
ひょんなことから、廻ってない寿司を食べることになった。
何度か来たことのある回転寿司屋の前を通ると、店員に呼び込みされた。
そんな経験は初めてだったので、
「珍しいこともあるもんだなぁ」と
思いながら2時間ほどの用事を済ませてからそのお店に行ってみると、
あろうことか
回転寿司屋を回転寿司屋たらしめる、絶対的なシンボルであるはずの
あの回転レールはは止まっていて、
皿もすべて片付けられてあり、寿司は一皿たりとも廻っていない。
それは
遊園地へ行ったけども、ジェットコースターが一台も動いてないときくらい、もの悲しい。
否
講演を聴きに行ったら、大ホールに聴衆が5人くらいで、出るに出れなくなってしまったときくらい
スリリングだ。
きょとんとしている我々に、先ほどの呼び込みをした店員が、
「どうぞお好きなものおっしゃってください、握りますんで!」
と自らカウンターに立った。
しょっ、職人さんだったんですか!?
結構広い店内を見渡すと、なんと客は私たちだけ。
土曜の夜8時。
お客さんでごった返していてもおかしくないはずの回転寿司屋が
呼び込みをしなきゃならない状況とは、この不況は相当深刻のようだ。
ちょっと、もの悲しい廻ってない寿司初体験でした。