こういう宿に出会える。
これこそ小さい宿の醍醐味なのです。
伊東はどうも歓楽的なイメージがあって、あまり目が向いていなかったのです。
しかし花季(はなごよみ)はツボでした。
閑静な住宅街。
部屋は気張った感じはまったくなく、露天風呂がなければ静かな住宅の一部屋にいる気分。
まったく気負いがいらず、長くいるとなんとなく愛着が涌いてくる。
ここは3階。通る風が気持ちよく通る。
窓の外には木香薔薇 (もっこうばら)。
一本の木のつるが1階から伸びているのだそうだ。
実は到着のときに予期せぬサプライズがあった。
ここの窓の外の屋根に連れが何か見つけた。
とっさのことで、はっきりと認識できたわけではないのですが、
小さく俊敏な体、体は青とレモン色、長くまっすぐなくちばし、平べったい頭・・・。
「えーっ、こんなところに?」
部屋を案内してくれていた若女将(とお呼びすればいいのかな?)と私たち3人は
あっけにとられながら注視した。
私がカメラを取りに行こうとした瞬間に飛び立ってしまった。
その間、10秒ほどの出来事。
居合わせた3人の意見で、
きっとカワセミなのだろう
という結論を導き出した。
素敵な滞在を予感させるエピソード。